ヤコウガイって?

 毎日、チマチマとアクセサリーを作っては依頼主にお渡ししている私ですが、一番よくいただく質問が、「ヤコウガイって何ですか?」です。めんどくさがり & 気分屋な私はいつも【サザエのオバケみたいな貝】です。と答えています。(皆さんごめんなさい、でも、一番わかりやすい表現なんです。)
 でも、ここでは、ちゃんとお話しようと思います。専門的に研究しているわけではないので、ご指摘ありましたら、ご連絡いただけると助かります。

学術的には・・・

■学名 / Scientific name : Turbo marmoratus Linnaeus
■和名 / Japanese name : YAKOUGAI / 夜光貝(ヤコウガイ)
■英名 / English name : Great Green Turban

 「夜光貝」という名前ですが、貝自体が光るわけではありません。名前については諸説あります。個人的な見解では、生息地域である奄美諸島以南のことを「ヤクの島々」と呼んでいたことから、「ヤクの貝」→「ヤクー貝」→「ヤコウ貝」となった、というのが妥当な説かな、と思います。
 ※「屋久島の貝」→「ヤク貝」→「ヤコウ貝」という説もありますが、屋久島よりも南のほうがメジャーな貝なので、説としては弱いかなと思っています。
 英語名、かわいいですよね。でっかい緑のターバン。(^^)


■分類 / Biological classification :
 Gastropoda > Vetigastropoda > Trochoide > Turbinidae > Turbo
 腹足綱 > 古腹足目 > ニシキウズ超科 > サザエ科 > リュウテン族 

 「サザエのオバケ」という表現も、あながち間違ってはいません。サザエ科の貝です。サザエ科リュウテン属の中では最大で、直径20cmに達するものもあります。水深30m以浅の浅めの場所に生息していますが、夜行性のため、昼間のダイビングやシュノーケリングで見かけることは稀でしょう。(一生懸命探さないといません。)主に岩場に潜んでおり、海藻を食べて暮らしています。
 生息域は、日本ですと種子島/屋久島~与那国島の暖かい海の珊瑚礁に住んでいます。世界的には熱帯~亜熱帯域のインド・太平洋区にいるそうです。日本以外の夜光貝、、、見てみたいです。ウズウズ・・・どなたか情報お持ちの方、ご一報ください。


■外見 / Appearances
取れたての様子 夜光貝には、フジツボ等々、色々なのモノが付着しています。なので、取れたてはこんな感じです。白っぽいですよね。この貝は12~3歳くらいかな。年をとればとるほど、付着しているものもたくさん!でも、長年生きた貝ほど、味があって、深みがあって、なんとも言えない輝きを見せてくれます。人間と同じかな。
 作業もまずはこの状態から始まります。色々な付着物を電気グラインダー(通称:サンダー)で削っていきます。削ると、ちょっと臭い。。。だからマスクして、ゴーグルつけて・・・大変なんです。


もうちょっと若い貝の画像 こちらは、もうちょこっと若い貝です。7~8歳くらいでしょうか。あまり付着物が無いですね。付着物が無い状態ではこのように茶色っぽくて、斑点があります。夜光貝は胴体がズーンと大きく、その割に螺塔(ラトウ:貝の高さ)は低いです。つまり、塔頂部分がそんなに大きくないのです。
 また、波にさらわれないように突起が発達したりします。波が強いところで育った貝はこの突起が大きくなります。写真で、胴体まわりの一部がポコポコ線上に盛り上がっているのがわかるでしょうか?凸部分の中もかなり良い輝きを出します。年輪みたいな模様が出たりします。


もうちょっと削ると 茶色っぽい層を薄く削っていくと、鮮やかな緑色の層のお出ましです。この緑色が一番夜光貝らしいところだと、思っています。大好きなんです、この色。海の青・空の青・山の緑・・・、自然の全部が混ざったような、そんな色です。決して染めているわけじゃないんですよ。あくまで自然の色です。写真で伝えるのは難しいですね~。
 作品にもこの緑を残すようなものも多く作っています。でも、この緑を残すのは難しいのです。表層のほんの一部ですから。そのかわり、綺麗に残せたら最高の気分(^^)


さらに中は・・・ さらに、緑色の層を削っていくと、真珠層のお出ましです。最初に出会った夜光貝のネックレスは、この真珠層のみでできていました。深く、柔らかく、暖かく、優しく、・・・角度によって様々な輝きを見せてくれます。ずーーーーっと見ていたくなります。夜光貝中毒(?)ですかね。
 この輝きに、私はやられてしまったわけで・・・。あれ以来、この貝の虜です。1つ1つ磨くたびに新しい顔を見せてくれます。驚きをくれるのです。
 皆さんにも、少しでもお伝えできると嬉しいです。(^^)


磨いたらこんな感じ ちなみに、貝を丸ごと磨いたらこんな感じです。とある民宿の玄関にほとんど放置されていたこの子。オーナーが「プレゼント!」と言ってくれたので、解体しようとサンダーをこの子に向けたら、何故か解体する気がなくなってしまったのです。なんとなく、「民宿に居たいよー」と言っているような。。。(気のせいだと思いますけど!!)
 ということで、丸ごと磨いて、綺麗におめかししてオーナーにお返ししました。
 ちゃんと飾ってくれているかなあ。



■その他、準備中。。。